Q1.
電気化学的防食工法を適用するためには,どのような情報が必要ですか?
電気化学的防食工法の適用にあたっては,適用の可否や工法の選定,設計・施工を行うための情報を得るため,調査を行う必要があります。各調査段階の調査項目の詳細は,土木学会コンクリートライブラリー157「電気化学的防食工法指針」をご参照ください。
Q2.
電気化学的防食工法はどのような条件で適用するのが良いですか?
電気化学的防食工法は,電気を活用することでコンクリート構造物中の鋼材を防食することを目的とした工法です。電気化学的防食工法には,構造物の構造形式や立地環境,劣化状態に適合する複数の工法(電気防食工法,脱塩工法,再アルカリ化工法など)があるため,条件に合致する工法を選定する必要があります。工法の選定にあたっては,土木学会コンクリートライブラリー157「電気化学的防食工法指針」の附属資料2に,各構造物管理者の工法選定フローの概要が示されていますのでご参照ください。以下に電気化学的防食工法の各工法の位置づけを解説します。
既設コンクリート構造物の鋼材の防食に適用される一般的な補修工法としては,表面被覆工法や断面修復工法等があります。
表面被覆工法は,鋼材腐食の原因になる腐食因子(塩化物イオンや二酸化炭素等)の侵入を直接抑制しようとする補修方法ですが,鋼材位置の塩化物イオン量や中性化深さが腐食の発生限界になっている場合や既に腐食ひび割れが発生している場合には効果的に活用することができません。
また,断面修復工法は,腐食因子を含むコンクリートや鋼材の腐食によって損傷したコンクリートを取り除き,断面修復材に置き換えることで鋼材の防食機能の回復が図れますが,長期間にわたって防食効果を確保するためには,腐食因子の侵入範囲の適切な評価と適切な補修範囲の設定が欠かせません。そのため,コンクリートに生じた損傷部だけを修復するような場合には再劣化を避けることができません。
一方,電気防食工法は鋼材の腐食を強制的に停止する工法であるため,コンクリート中に塩化物イオンが大量に残存した状態でも適用可能であり,構造物の機能を保持することが可能な手法と言えます。脱塩工法は電気の力でコンクリート中の塩化物イオン濃度を低減する塩害対策工法であり,再アルカリ化工法はコンクリートのアルカリ性を回復させる中性化対策工法であるため,劣化因子が侵入したコンクリートを物理的に取り除くことなく,本来コンクリートが有する鋼材防食機能を回復させることができます。
Q3.
電気化学的防食工法の施工費用を教えてください
施工単価は,構造物が置かれている環境条件,適用する工法,補修面積,施工条件等によって変わります。直接工事費の概算については,土木研究所発刊の「電気防食工法を用いた道路橋の維持管理手法に関する共同研究報告書(整理番号第502号)」をご参照ください。
なお,詳細についてご相談が必要な場合は,以下の専門業者にお問い合わせください。
Q4.
電気防食工法のランニングコストを教えてください
電気防食工法適用後のランニングコストの例は以下のとおりです。
Q5.
電気化学的防食工法の設計や施工はどこに発注すればよいですか?
工法の選定のための調査が行われ,必要な施工条件が明確になれば,工法保有会社(専門業者)だけでなく補修工事全般を請け負う建設会社が入札に参加する場合もあります。ただし,詳細な設計や施工の担当は工法の保有会社になる場合があります。
Q6.
電気化学的防食工法を適用した場合の構造物の維持管理はどのようになりますか?
電気防食工法では,電気防食システムの維持管理を行います。一方,脱塩工法および再アルカリ化工法では,適用後の維持管理は構造物の維持管理計画に基づいて行うことになります。詳細は土木学会コンクリートライブラリー157「電気化学的防食工法指針」をご参照ください。
以下に電気防食工法の維持管理(点検)の方法と頻度の例を示します。
点検の種別 | 実施者 | 実施時期と頻度 | 方法 |
---|---|---|---|
日常点検 | 管理者 | 6か月に1回以上 | 巡回目視(通電の有無(受電ランプや運転ランプの点灯確認), (電気防食システムの変状の有無を確認) |
定期点検 | 専門技術者 | 5年に1回以上(初回は通電開始後2年以内に実施するのがよい) | 近接目視による外観調査,通電電圧・電流,陽極・鉄筋の電位測定 (電気防食システムの健全性や防食効果を確認) |
Q7.
その他のご質問
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